Monthly Guideでは、毎月注目のプログラムを紹介。
編集チームがピックアップした各プログラムの魅力を、インタビューや取材レポートなど多彩な内容でお届けします。

目次
5月号

芸術文化都市・東京の魅力を発信する多彩な文化プログラム

スポーツの祭典、オリンピック・パラリンピックが開催される東京を、文化の面から盛り上げるために多彩なプログラムを展開し、広く世界に“芸術文化都市・東京”の魅力を伝える取組が【Tokyo Tokyo FESTIVAL】です。

「文化でつながる。未来とつながる。」、「THE FUTURE IS ART」をコンセプトに、伝統と現代、そして世界中のさまざまな文化が交差して生まれる、未来への可能性を感じるプログラムが、東京都内を中心に多数開催されます。多様性や独自性など、東京が持つ文化の魅力を、国、他の自治体、芸術文化団体等と力を合わせて発信しています。
都内の美術館などでポスターやのぼりを見かけた方も多いのではないでしょうか。

Tokyo Tokyo FESTIVALは、2020年に向けて進めてきましたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けて、多くのプログラムが延期や中止を余儀なくされました。
ただ、その間も文化の灯を消さないという強い想いのもとで、準備が進められてきました。
なかでも注目なのが、Tokyo Tokyo FESTIVALスペシャル13と題されたプログラム。2400件を超える公募から選ばれた13の企画は、ダンスパフォーマンス、建築、美術や漫画などジャンルや内容もさまざまです。

芸術文化都市・東京の魅力にぜひ出会ってみてください。

「Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13」

公式サイト

2021年4~8月、銀座・新橋エリアとオンラインを中心に開催される「TOKYO REAL UNDERGROUND」は、アンダーグラウンドという言葉を、実際の地下空間と、いわゆるアングラの「自由な精神」という2つの意味に解釈して開催されるダンスフェスティバルです。
舞踏(BUTOH)の、過去・現在・未来を一望できる話題のイベントについて、アーティスティック・ディレクターの川口隆夫さん(パフォーマー)、プロデューサーの溝端俊夫さん(NPO法人ダンスアーカイヴ構想 理事長)にお話を伺いました。

アーティスティック・ディレクター:川口隆夫さん

プロデューサー:溝端俊夫さん

今、再び注目される舞踏(BUTOH)の魅力

1960年代、日本で生まれ世界に広まった「舞踏」。川口さんはコンテンポラリーダンスの世界で活躍し、近年は舞踏の創始者の1人である大野一雄氏のパフォーマンスを再演されています。

「ダンスというと美しい形の動きや振りがあるイメージだと思いますが、舞踏は、より内面的な、体の中でどんなことが起こっているかが、メインの動きの動機としてあると思います。
僕が『大野一雄について』という舞踏の作品を演じる中で感じるのは、芸術、アートの最先端を引っ張っていくような潜在力。現代的なアートの1つの形態として、全身を真っ白に塗ったり、非常に顔をゆがめて体をねじったり、普通の身体ではない形を見せるなど、とてもアバンギャルドな部分を担っている。
60年代から80年代初頭くらいまで、いわゆるアンダーグラウンドで大きな波を形成した舞踏が、最近、特にコンテンポラリーダンスの文脈の中で世界的に見直されているのは、すごく面白い状況だと思います」

見どころ

今回はコロナ時代のダンスフェスティバルとして、銀座の地下通路での展示、無観客上演のオンライン配信、リアルとオンラインをミックスさせたAR作品などを通して開催されます。川口さんが語る見どころとは――。

「いろんな映像や画像がインターネットを通じて氾濫していく中で、とてもささやかな微細な部分、外側にはあまり見えないけれど体の中に生成しているエネルギーみたいなものをじっと見つめる――これは、現代社会の中で非常に意味のあることだと思います。
昔は『パフォーマーの飛び散る汗を浴びながら観劇するのが、生の舞台の醍醐味』と言われました。
今、コロナ禍においてそれは難しいので、映像配信などテクノロジーで補うわけですが、カメラは本当に至近距離で、パフォーマーを数センチの距離で捉えます。
くらいつくような別のアングルからの接近も可能で、普通の観劇とは一味違った面白さを味わえると思います」

プログラム

コロナ時代だからこその、これまでにない鑑賞が楽しめる本企画。どれもパフォーマーの熱いエネルギーを感じることができるプログラムです。
公式サイト
http://www.tokyorealunderground.net/

TRUエキシビジョン

ウィリアム・クライン写真展「GINZA 1961 街が主役の写真展」
日程:2021年4月1日(木)~7月13日(火)※会期が延長になりました。
会場:銀座地下歩道(銀座駅・東銀座駅間地下通路)
1961年に初来日した写真家ウィリアム・クラインの写真(10枚)が、60年の時を越えて出現する都市型の写真展。

街歩き型AR「ダンス・ハプニング・トゥデイ」
日程:2021年4月1日(木)~8月15日(日)
会場:銀座・新橋路上およびオンライン
舞踏の創始者とされる土方巽、大野一雄、大野慶人。1961年に彼らを撮影した写真など約350点が、地図に示された場所でスマホをかざすとスライドショーで鑑賞できる。新感覚の街歩き型AR作品。

オンライン年表「舞踏出来事ロジー」
日程:2021年4月1日(木)~8月15日(日)
会場:オンライン
イラストとともに振り返る舞踏の歴史。

TRUオンライン:パフォーマンス+アーティストトーク

撮影:Takuya Matsumi

川口隆夫『大野一雄について』他
日程:2021年4月24日(土)~8月15日(日)※6月末まで、毎週末に新規プログラムを公開。
会場:オンライン
世界を飛び回る人気アーティストたちの新作、話題作を無観客上演・撮影し、オンライン配信。
また、パフォーマンスや展示に関するトークも配信中。

アーティスティック・ディレクター:川口隆夫さん

アートで何ができるのか。世界が様変わりした中で、いろんなことを模索しながら進んでいきたい。
非常に些細な現実を、今までになかった大胆な切り口で見せられた時に、思いもしなかった感情や考え方、驚きが生まれる。
それがすごく大切で、僕らはそれを必要としている。
それが、アートかなと思います。

プロデューサー:溝端俊夫さん

舞踏は今、新しい時代を迎えている。コロナという時代の中で社会の土台が変わり、新しさという言葉では表現できないような激しい変化の中で、今回オンラインでも開催します。
コロナ禍で改めて認識したのは、やはり、人と人とのつながりが1番大事なんだということ。
そのことをアートを通して皆さんにお伝えしたい、というのが私の思いです。

※2021年4月20日時点の取材に基づいて記事を作成しております。

4月1日から開催されている「TOKYO REAL UNDERGROUND」。よく晴れた某日、地下鉄銀座駅を降り、三越入口の横を通り地下道へと向かう。

「舞踏(BUTOH)」と聞いて思い浮かべるのは、髪を剃り、白塗りで踊る舞踏家たちの姿。ちなみに、私はこの世界の知識が全くない。そのまま歩いていくと、巨大なポスターを発見!モノクロの写真に鮮やかな赤のコントラストが映える。

まず、その姿に圧倒される。モノクロの写真のせいか、パフォーマーの何とも言えないエネルギーを感じる。その背景に写っている情景もまた興味深い。当時の看板や、突然、銀座の街で繰り広げられたパフォーマンスを見ている60年前の市井の人たちの表情も面白く、思わず見入ってしまう。

60年前のパフォーマンスとリンクする、街歩き型AR「ダンス・ハプニング・トゥデイ」

次に、事前にお気に入り登録していた「TOKYO REAL UNDERGROUND」のサイトから「AR体験をはじめる」をタップ。
すると、銀座界隈の地図が現れた。しかし!こんなことをしなくても、展示にちゃんとQRコードが表示されているではないかっ! 知らなかった……。

番号の場所に歩き出し、スマホをかざすと、1961年に撮影された写真のスライドショーが始まる。雨上りの銀座・新橋街頭で、舞踏の創始者とされる土方巽氏、大野一雄氏、大野慶人氏らのパフォーマンスを撮影したのは、写真家のウィリアム・クライン氏。

まだ人生で数回しか経験していないAR。ワクワクしながらいろんな操作を試し、スマホをかかげたまま「わー!これ三越!?」とか言いながら銀座の街を歩く。
三越といっても、スライドショーに写っている当時の三越らしき建物に感動しているわけだが、周りからは今の銀座の街に感動しているように見えるわけで。おのぼりさん(死語?)っぽいけど気にしない(笑)。

他にも銀座の地下道や新橋付近など、スライドショーを鑑賞できる地点は数カ所ある。

※つい夢中になってしまいますが、スマホに気を取られて歩行者にぶつからないよう、行かれる方はくれぐれもご注意を。現地に行かなくてもオンラインでも見ることができます。

これまで舞踏の世界を覗いたことがなくても、その歴史に触れたり、AR体験で楽しめる「TOKYO REAL UNDERGROUND」。上記の他にもオンライン年表や、人気アーティストのオンライン公演など多彩なプログラムを展開中! もっと大々的に宣伝してもいいのでは?と思うが、そこはアングラならではのさりげなさ、というところなのかもしれない。(K)

「TOKYO REAL UNDERGROUND」

公式サイト

※2021年5月11日時点の情報です。最新の情報は各プログラムの公式サイト等でご確認ください。

編集ライターチーム紹介

OKAJIMA
映画とテクノロジーが好き。自転車で東京中を移動。走行中にフッと感じる生活風景が好きですね。夕ご飯の匂いとか。

KATO
映画などエンタメ全般、伝統工芸、ものづくりの現場が好き。直感を大切にと思う今日この頃。猫も好きで目が合うと寄ってきます。

HIGASHI
現代美術と映画、音楽が好き。最近、伝統芸能も気になってます。おいしいものとスポーツ観戦にも目がありません。